14歳のディーラー少年がTwitterで暗躍──。2023年、未成年者が関与するドラッグ流通事件が相次いで発覚し、社会に衝撃が走りました。警察庁の統計によると、10代の大麻関連検挙者は過去5年で3倍に急増。中でも中学生年齢の「若年ディーラー」の存在が新たな社会問題となっています。

彼らの手口は巧妙化しています。SNSの暗号化アカウントで「お菓子配達」と偽装し、学校帰りに駅のコインロッカーを中継地点に利用。1回の配送で平均5万円を稼ぐ少年は、取材に対し「ゲーム感覚でやってる」と語ります。教育関係者が指摘するのは、動画プラットフォームで流れる「簡単に稼げる」という誘導コンテンツの影響です。

少年事件専門の弁護士は警鐘を鳴らします。「刑法41条の刑事未成年規定を知り尽くした犯罪組織が、意図的に14歳未満を利用しているケースが増加中」。実際に摘発されたグループの8割が、法律の隙間を狙った年齢調整を行っていたことが判明しています。

この問題への対策として、神奈川県警は2024年度から「デジタルパトロール班」を新設。AIを活用したSNS監視システムで、隠語を使ったドラッグ取引の検知精度を70%向上させました。同時に、学校向けに開発されたVR教材「薬物断絶シミュレーター」が全国500校以上で導入され、若年層への啓発効果が期待されています。

しかし根本的な解決には、家庭内での早期発見が不可欠です。子供のスマホに突然増える謎のQRコード、急に高額な物を買い始めるなどの変化を見逃さないことが重要。社会全体で未成年者を犯罪の道具にさせないための新たな防衛ラインが求められています。