解釈深度が試される”気づき型”怪談集

【第1話】毎朝届く手紙

母が亡くなって3日後から、私のポストには毎朝手紙が届くようになった。便箋には「冷蔵庫のヨーグルトを食べなさい」「雨が降るから傘を持って」と、母が生前よく言っていた言葉が並んでいる。今日も温かい紅茶を飲みながら手紙を読んでいると、突然背筋が凍りついた。封筒の消印に気付いたからだ。

※答え：手紙を出しているのは死んだ母ではない。毎日ポストに侵入して手紙を入れている人物がいる

アパートの階段は12段と決まっている。転居してきた日に数えたから間違いない。ところが昨夜、酔っぱらった友人が「13段あるじゃん！」と言い張る。笑いながら数え直すと、確かに13段目に冷たい金属の段が増えていた。翌日、その友人が消息を絶った。

※真相：階段が「異界への入り口」になった瞬間を目撃してしまった

新居の浴室に奇妙な癖がある鏡が据え付けられていた。湯気がかかると、映った自分の動きが0.5秒遅れるのだ。ある晩、鏡の中の私が突然不自然な笑みを浮かべた。慌ててタオルで拭うと、普通の反射が戻っていた。それ以来、周囲の人間が私を見る目が変わったような気がする。

※解釈：鏡の中の存在が現実世界と入れ替わった

「恐怖とは気付かないことにある」
― 都市伝説収集家・黒塚鏡太郎

上級者向けの怖い話は、単なるジャンプスケアではなく「認知の転換」を要求します。これらの話を読んだ後、ふと振り返った時に見える世界が、昨日までと同じかどうか――それが本当の恐怖の始まりかもしれません。

※本記事はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません