信州に根付く斉藤一家の物語
長野県北部の山あいに位置する小集落で、約400年にわたり地域の歴史を刻んできた「斉藤家」。江戸時代初期から続く旧家として、古文書や伝統行事の継承を通じて、信州の文化を今に伝える存在です。
武家の流れをくむ家系
当主・斉藤宗太郎氏(58)によれば、祖先は戦国時代に上杉家に仕えた武士だったと伝えられています。江戸時代に入り帰農後は、養蚕技術の革新や地域の教育振興に尽力。明治期の戸籍簿には「学問所経営」の記載が残り、近隣15村の子弟教育を担った記録が確認されています。
現存する江戸期の屋敷
主屋・土蔵・門塀が完存する貴重な建築群。1789年建立の主屋には、当時の大工技術の粋を集めた「むくり屋根」が特徴的です。2015年に国の登録有形文化財に指定されました。
継承される三大行事
- 御頭神楽(4月5日):鎧兜を着用し田の神を祀る
- 虫送り火(8月15日):松明で害虫退散を祈願
- 新嘗祭(11月23日):収穫祭と家訓の朗読
「守るべきは形ではなく心」
― 第23代当主・斉藤和夫氏の言葉
現代に活かす伝統
2019年からは若手メンバーが中心となり、古民家を活用した「信州手仕事塾」を開催。地元の職人と連携し、わら細工や草木染めの体験講座を実施しています。2023年には年間1,200人以上の参加者を記録し、地域活性化の拠点として注目を集めています。
日付 | 内容 | 参加費 |
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5/3-5 | 古文書特別公開 | 無料 |
8/10-18 | 夏休み子ども歴史教室 | 500円 |
10/20 | 収穫祭フードマーケット | 入場無料 |
歴史研究家の小林真理子教授は「斉藤家の資料は信州農村社会の変遷を語る重要資料」と評価。今後デジタルアーカイブ化を進め、2025年度中のオンライン公開を目指しています。