萬屋錦之介家 系図の解明
江戸時代中期から続くとされる萬屋錦之介家の系図は、近世商家の家系研究において貴重な資料として注目されています。古文書や寺院の過去帳を基に再構成された系図からは、呉服商としての隆盛と社会貢献の軌跡が浮かび上がります。
【始祖】萬屋 錦之助(1728-1789)
明和年間に京都西陣で呉服屋「萬屋」を創業。後世「錦之介」と称されるようになる初代当主。公家との取引記録が残る。
【三代目】萬屋 錦之介 清正(1801-1867)
幕末動乱期に畿内で物資流通網を整備。朝廷御用達商人としての地位を確立。家訓「一針一筋」を制定。
【近代】萬屋 錦之介 隆一(1890-1955)
昭和初期に洋装部門を創設。戦後は繊維メーカーとして再出発。現在の萬屋グループの基礎を築く。

系図の特徴
- 代々「錦之介」を名乗る当主は経営責任者を継承
- 分家制度により全国8支店を展開(明治期最盛時)
- 養子縁組による技術者・文化人の迎え入れが多数確認
2019年に発見された「萬屋文書」には、これまで未確認だった幕末の姻戚関係が記されており、今後の研究進展が期待されています。系図研究の第一人者・京都歴史文化研究所の分析によれば、当主夫人の34%が公家出身者という特異な血統構成が判明しています。