「汁 婆 クラブ」が伝承する日本のソウルフード
全国に広がる「汁 婆 クラブ」の活動が、近年食文化の継承者として注目を集めています。平均年齢68歳の会員たちが、各家庭に伝わる「汁物レシピ」を持ち寄り、現代の食生活に適応させながら次世代へ伝えるユニークな取り組みです。
■ 地域の味を未来へつなぐ「汁物アーカイブ」
2005年に長野県で発足した同クラブでは、これまでに1,200種類以上の汁物レシピを収集。山間部の野草汁から港町の漁師汁まで、地理的・気候的特性を反映した「液体の民俗資料」をデジタル化し、若い料理研究家との共同作業でレシピの現代化を進めています。
代表の山田和子さん(73)は語ります
「汁物はその家の歴史そのもの。昆布の出汁の取り方ひとつに、お姑さんから教わった時の思い出が詰まっているんです」
■ マッチングシステムで広がる交流
2023年から始まった「おすそわけ汁物便」では、会員の特製汁物を近隣住民に提供。高齢者の孤食問題解決とレシピ継承を両立させる画期的な仕組みが、厚生労働省のモデル事業に選定されました。
活動内容 | 参加人数 | 派生メニュー |
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味噌汁教室 | 延べ1,200人 | 豆乳仕立て健康汁 |
郷土汁再現 | 47都道府県 | 東京下町かき玉汁 |
次回イベントでは、戦時中の代用食をヒントにした「大豆カレー汁」の試食会を開催。食の知恵を過去から未来へつなぐ「汁 婆 クラブ」の活動は、SDGs時代の新たな地域コミュニティモデルとして進化を続けています。