闇に蠢く現代東京の地下で、禁忌の儀式「玉潰し」が密かに復活していた。宝石商の御曹司・雪村玲司(17)は、自らの美貌が災いし、この地獄絵図に巻き込まれることに。特殊な周波数で宝石を破砕する「玉潰し」技術が、人間の魂までも粉砕し始めた夜──。
「美しきものこそ、穢れを浄化する器に相応しい」
黒衣の教団員たちに囲まれた玲司の眼前で、血染めのダイヤモンドが不気味な輝きを放つ。最新量子物理学と古代呪術が融合した装置から漏れる青白い光が、少年の整った輪郭を浮かび上がらせる。スマートフォンに映し出されるSNSの「いいね」数が、現実と虚構の境界を溶かしていく。
渋谷スクランブル交差点の巨大スクリーンに突如現れた「#玉潰しチャレンジ」の文字。無邪気に踊るティーンエイジャーたちの背後で、玲司の左目から真珠のような涙が転がり落ちた。それは、ディープラーニングが予測できない、人類最古の悪意の結晶だった──。